腱板断裂の病態~まず知っておきたい事~

こんにちは、肩関節機能研究会の佐藤(@masagaze)です。

今回は肩関節疾患でも多く経験するであろう、”腱板断裂の病態”について説明していきます。

悩む人
病態を知る必要はある?

悩む人
なんでも治せるテクニックを勉強すればいいんじゃない

 

 

佐藤
肩に限らず、病態を知ることは”リスクの把握や介入の対象の判断”につながるため、必須ですね!
この記事では、
・『腱板断裂』『腱板損傷』の患者さんを最近担当することになった!

・腱板筋のストレッチと筋力トレーニングをすればいいんだよね?

など、腱板断裂について『曖昧・不安だな』と感じている方に読んでいただきたい内容となっています!

腱板断裂の種類について

 

腱板断裂は大きく分けると以下の二つに分けられます。

外傷性断裂 ⇒転倒などの外傷が契機となる。

変性断裂  ⇒加齢などの退行性変化に起因する断裂

 

外傷性断裂はその名の通り、転倒や事故などの外傷が契機となり腱板損傷が起きることを指し、

変性断裂は、加齢が関与する退行性の変化が腱板筋に見られ、組織学的に見ても脆弱になることで発症することを指します。

また、全断裂中、8割が変性断裂と言われています。

 

 

佐藤
そして! 独立して考えるのではなく、混合して考えることも大事です!!
”外傷時、高齢になるにつれ腱板断裂が起きやすい”ことも報告されています👇

 

変性により脆弱化した腱板筋が、インピンジメントを繰り返しおこすことで断裂につながることはよく知られていますが、

脱臼に伴い発症することも多く、加齢と断裂の発生率に相関があったとも報告されています。

 

断裂サイズ

腱板サイズについてですが、その名の通り腱板の損傷部位のサイズによって、大きく4つに分類されています。

従来(1984年 Cofieldらの分類)では
・1㎝以下  ⇒  小断裂・不全断裂
・1~3㎝  ⇒  中断裂
・3~5㎝  ⇒  大断裂
・5㎝以上  ⇒  広範囲断裂

 

現在も上記の分類を用いている施設も多くありますが、

西洋人に比べ、日本人は上腕骨頭が小さく(平均4.04㎝)、適切ではないのではないかともいわれており、

2013年に松浦らによって腱板断裂サイズの新たな分類方法について報告されています。

松浦恒明 他:腱板断裂サイズの新しい分類に関する考察:肩関節,661-664,37(2),2013.

この報告によると、

2013年 松浦らによると
・1㎝以下  ⇒  小断裂
・1~2㎝  ⇒  中断断裂
・2~4㎝  ⇒  大断裂
・4㎝以上  ⇒  広範囲断裂
とされており、これまでより分け方が小さいものとなっています。

あくまで、どの分類を用いているかは施設や主治医の考え方によるものですので、

まずは自分の所属先や関連施設でどのような考えなのかは、必ず確認するようにすることが大事であると思います(´_ゝ`)

 

断裂のタイプ

断裂のタイプとは、どのように断裂しているかを表しており、

完全断裂・部分(不全)断裂の2つに分けられます。

断裂タイプ
完全断裂 ⇒ 全層(5層)すべてが完全に切れている

部分断裂 ⇒ 5層の内、部分的に断裂が見られる

 

また、部分(不全)断裂は、腱板のどの部分に断裂部があるで

・滑液包面断裂 ・関節面断裂 ・腱内水平断裂

の3つに分けられます。

…ごちゃごちゃしてきたぞ。と思った方は下のスライドをご覧ください(´_ゝ`)

 

 

断裂部位の診断としては

①MRI ②造影法 などがあり、

・滑液包面断裂・関節面断裂 ⇒①MRI②造影法の診断率はほぼ同等

・腱内断裂         ⇒①MRIの診断率が高い

とも報告されています。

 

断裂サイズがどのタイプに当たるのかどのように診断したのか、ぜひ主治医の先生とコミュニケーションをとるきっかけにしていただけたらと思います。

まとめ

・腱板断裂は外傷性と比べ、変性断裂が多い。(全断裂中の8割)

 

・断裂のサイズとしては小断裂、中断裂、大断裂、広範囲断裂に分けられるが、分け方は施設や主治医によって若干異なる。

 

・断裂のタイプとしては完全断裂、部分断裂の二つに大別されるが、部分断裂は断裂の場所によって・滑液包面断裂・関節面断裂・腱内水平断裂に分けられる。

 

 

今回は断裂の①種類、②サイズ、③タイプに言及しましたが、

今後は、腱板断裂の発生率、断裂の危険因子、断裂の進行因子、などについても続編の記事を作成予定ですので是非お待ちください(´_ゝ`)

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以上、肩関節機能研究会 佐藤でした(^ ^)

 

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