
こんにちは。
肩関節機能研究会 の郷間(@FujikataGoma)です。
今回は『石灰沈着性腱板炎』について解説していこうと思います。
本記事は
▪何をどう評価すればいいかわからない
▪介入方法がわからない
▪生活指導がわからない
そもそも石灰沈着性腱板炎とはどのような病態でしょうか?
石灰沈着性腱板炎とは
石灰沈着性腱板炎とは、文字通りなんらかの原因により腱板周囲に石灰が沈着(生成)し、インピンジメントや擦れなどにより痛みの伴う炎症症状の病態を指します。
一括りに石灰沈着性腱板炎といっても、臨床的には急性期と慢性期に分けられことが多いです。
理学療法で改善する場合が多いが、長期化する症例に対しては積極的な治療が考慮される。
濱田博成:石灰沈着性腱板炎における肩峰下インピンジメントの診断と治療.臨床スポーツ医学.36(2):152-157,2019.
Louwerens JK,et al:Evidence for minimally invasive therapies in the management of chronic calcific tendinopathy of the rotator cuff: a systematic review and meta-analysis. JShoulderElbow Surg.2014Aug;23(8):1240-9.
また、腱板筋群の中でも皆川は棘上筋と棘下筋の移行部に、Depalma AFらは棘上筋に好発するとされています。
皆川洋至:超音波でわかる運動器疾患 診断のテクニック. 出典:株式会社メジカルビュー.2010.
Pepalma AF,et al :Long-term study of shoulder joints afflicted with and treated for calcific tendinitis.Clin Orthop.1961;20:61-72.
では、石灰はどのように評価していくのでしょ?
石灰沈着性腱板炎の評価
石灰沈着性腱板炎の基本的な評価方法はレントゲンやMRI、CTなど画像所見が一般的です。
また、近年はエコー機器自体の精度向上や検者の技術向上によりエコーでの確認もすることが多くなってきています。
僕自身も、レントゲンでは映らない程度の微小な石灰を見つけた場合は主治医にみていただき、診断、必要時は処置をしてもらうようにしています。
エコーを使った石灰の観察では、石灰の硬度を確認する手法として、エコーのプローブで石灰に直接圧をかけて確認する手法などもあります。
また、石灰の下の高エコー(白く)になっている部分が大結節になりますすが、その部分がはっきりと白い場合はエコーが透過しているため比較的柔らかい石灰と判断し、硬く厚みのある石灰の場合は大結節部分が映らず音響陰影(アコースティックシャドー)を伴います。
たとえ硬くても、薄い石灰や内部が均一でペースト状の石灰では音響陰影を伴わない特徴があり、穿刺吸引の際の目安ともなります。
皆川洋至:超音波でわかる運動器疾患 診断のテクニック. 出典:株式会社メジカルビュー.2010.
石灰沈着性腱板炎に対するリハビリテーション
単刀直入に言います。
石灰は器質的な病態になりますのでリハビリをすることで早く吸収されたり、無くなったり、取れたり(笑)することはありません。
石灰沈着性腱板炎のリハビリテーションで最も重要なのは骨頭求心位です。
なぜならば、石灰の好発部位が第二肩関節だからです。
もう少し簡単に説明すると肩峰と上腕骨頭より構成される第二肩関節内に石灰ができるということが、通常よりもインピンジメントが生じやすいことがわかるかと思います。
そのため、如何に骨頭を求心位で安定させるか、第二肩関節の狭小化を予防改善できるかがカギを握っています。
ということで、インピンジメントに対する徒手療法はこちらの記事をご参照ください😊
ということで今回は石灰沈着性腱板炎について簡単にまとめさせていただきました(^-^)ノ
頻度は少ない病態ではありますが、その痛みは肩関節周囲炎や腱板断裂よりも強いと言われています。
まとめ
✔石灰沈着性腱板炎は急性期と慢性期に分けられる
✔中年期に好発し、女性に1.5倍多い
✔棘上筋と棘下筋の移行部や棘下筋の直上に好発する
✔リハビリテーションでは骨頭を求心位に保つことを目的とした介入が重要である
参考文献
Louwerens JK,et al:Evidence for minimally invasive therapies in the management of chronic calcific tendinopathy of the rotator cuff: a systematic review and meta-analysis. JShoulderElbow Surg.2014 Aug;23(8):1240-9.
Pepalma AF,et al :Long-term study of shoulder joints afflicted with and treated for calcific tendinitis.Clin Orthop.1961;20:61-72.
参考書籍
皆川洋至:超音波でわかる運動器疾患 診断のテクニック. 出典:株式会社メジカルビュー.2010.