烏口上腕靭帯の解剖学的特徴と徒手療法

こんにちは。

肩関節機能研究会の郷間@FujikataGomaです。

今回は烏口突起から付着する烏口上腕靭帯(CHL : coraco humeral ligament)について解剖学的な特徴からエコー動態描出方法、そして徒手伸張操作について解説していきたいと思います。

 

烏口上腕靭帯は臨床上とても重要な組織です。

 

特に拘縮肩で下垂位外旋運動が制限している場合は烏口上腕靭帯が影響している可能性が非常に高いです。

 

そして烏口上腕靭帯は普段の臨床で運動器エコーを使用する際、必ず評価する組織でもあります。

 

本記事を読んでいただくことで、臨床で必要な烏口上腕靭帯の基本的な知識や介入方法を知ることができます。

この記事を読んだ人が
少しでも烏口上腕靭帯に興味を持っていただけたら幸いです。

それでは一つずつ解説していきますのでよろしくお願いします(^-^)ノ

本記事はこんな方には特にオススメの記事です
▪烏口上腕靭帯の解剖学的な特徴を知りたい
▪烏口上腕靭帯のエコーを用いた描出方法を知りたい
▪烏口上腕靭帯の介入方法を知りたい

本記事は3~5分ほどで読み切ることができますので、ぜひ最後まで読んでみてください(^-^)

 

烏口上腕靱帯の解剖学的特徴

名称:烏口上腕靭帯(CHL : coraco humeral ligament)

起始:烏口突起基部

停止:上腕骨大結節、小結節

 

1.烏口突起周囲はエコーで同定できるが大小結節に近づくと関節包と一体化する。
2.膜様で弾力性と伸張性に富むコラーゲンタイプⅢが多く含まれる組織だが、瘢痕化により大きく物理特性が変化する(硬くなる)。
3.腱板疎部(棘上筋と肩甲下筋の間)を埋めるように存在する疎性結合組織である。
4.肩甲骨と上腕骨を繋ぐ靭帯のため、肩関節外旋に伴い緊張し内旋に伴い弛緩する。

疎性結合組織とは
器官や上皮を保持し、コラーゲンやエラスチンを含む多様なタンパク質性の線維を有する。膠原線維が少なく、皮下組織や多くの器官や組織の間に存在する組織である。

烏口上腕靭帯のエコー動態

烏口上腕靭帯は外旋運動に伴い、外側へ伸張されていく動態が観察されます。

烏口上腕靭帯の描出方法

描出Point💡
烏口上腕靭帯を描出する場合は結節間溝を始点にすると見つけやすいです。

烏口上腕靭帯び描出方法
手順① 肩関節下垂位から開始する。
手順② エコー描出する際は、浅層に三角筋前部線維があり、その下に確認できる。
手順③ 上腕二頭筋長頭腱(結節間溝)の短軸を始点に、プローブを内側へ移動する。
手順④ 内側で烏口突起が確認出来たらプローブを固定し肩関節内外旋運動を行う。
手順⑤ 外旋で緊張、内旋で弛緩する烏口上腕靭帯が確認できる。

 

烏口上腕靭帯の徒手伸張操作

烏口上腕靭帯の徒手伸張操作
屈伸運動
 ・軽度屈曲位では前方組織が弛緩し、後方組織は伸張する。
 ・軽度伸展位では前方組織が伸張し、後方組織が弛緩する。

内外旋運動
 ・全体として下垂位外旋で伸張し、下垂位内旋で弛緩する。

内外転運動
 ・全体として内転で伸張し、外転で弛緩する。

まとめ

烏口突起周囲はエコーでも明瞭に同定できるが大小結節に近づくと関節包と一体化する。

✓膜様で弾力性と伸張性に富むコラーゲンタイプⅢが多く含まれる疎性結合組織である

✓前方組織の伸張操作は軽度伸展×下垂位外旋×内転操作で行う

✓後方組織の伸張操作は軽度伸展×下垂位外旋×内転操作で行う

最後に

今回は烏口上腕靭帯の解剖学的特徴、エコー動態、描出方法、そして徒手伸張操作について解説していきました。

同じ烏口上腕靭帯といっても個体差や時期(炎症期や拘縮期)によっても多少介入方法は変わっていきますので、しっかり評価したうえで適切な介入をしていきましょう♪

 

CHLの癒着症例では、一方向だけの制限ではなく多方向性に可動域が制限されることが多いです。

 

徒手伸張操作を行う際は立体的な癒着のイメージをもって可動域訓練を実施する必要があります。

 

ですが、上肢を動かした操作で痛みが伴う場合は、ダイレクトに靭帯を触れて横断的にマッサージするだけでも多少は効果はみられるのでぜひやってみてください。

 

今後も皆さんに有益な情報がお届けできるよう尽力いたします!

以上、肩関節機能研究会 郷間でした(^ ^)

 

 

参考書籍

  • 皆川洋至『超音波でわかる運動器疾患-診断のテクニック』株式会社 メジカルビュー社,2010
  • 木村裕明『肩痛・拘縮肩に対するFasciaリリース肩関節周囲炎を中心に』株式会社 文光堂,2018
  • 林典雄『運動療法のための運動器超音波機能解剖拘縮治療との接点』株式会社 文光堂,2015
  • 林典雄『運動療法のための機能解剖学的触診技術』株式会社 メジカルビュー社,2011

 

おすすめの記事