
みなさんこんにちは!
肩関節機能研究会、研究生の佐藤雅文です🤓
先月の記事では”炎症期の運動療法の考え方”についてご説明させていただきました。
簡単におさらいすると、
✅痛みが伴わない範囲での介入
✅痛みが強すぎるのであれば、ウォーキングや自転車などの全身運動が有用の可能性
✅セルフケア定着を目指す
という内容でした!
痛みの再燃には注意!ということはわかりましたが、


今回の記事ではこのあたりを深堀しながら、私が普段気をつけていることなどもお伝えしていきたいと思います🤓
✅初回介入時の問診で、なにを聞けばいいか曖昧
この記事は数分で読めるので、是非最後までみていってください✨
痛みを繰り返し誘発してはいけないの?
私の知識不足から起こった苦い経験として、
炎症期と思われる方の安静時痛が減少してきたタイミングで、痛みを訴えていながらも関節モビライゼーションや周囲筋の介入を行なってしまい、なかなか痛みが完全には治らない方がいたことがありました。(^_^;)
痛みを出してしまった場面では
『リハビリの後もジンジン痛みが続いた。』
『何もしてない時の痛みが強くなった。』
などのご意見が聞かれ、
と感じることもありました。
痛みが持続することで炎症が長引く!
というのは想像できるかと思いますが、臨床ではただ長引いてるだけでなく余計に痛みに敏感になっているな、と感じる方にも遭遇することはないでしょうか?
単純に炎症反応が強くなる場合もあるかと思いますが、ここで思い浮かべられるようになりたいこととして、
“中枢性感作”と呼ばれる現象が関与すること、などが挙げられます!
中枢性感作とは
中枢神経系の侵害受容ニューロンの亢進した反応性
国際疼痛学会痛み用語2011年版リスト
以上のように国際疼痛学会では定義されています。
簡潔に、“刺激に対して通常以上に感じやすい状態”と覚えておくとわかりやすいかもしれません🤓
普段のセラピスト同士の会話でも、”この患者さんは痛がりだな”、”感作っぽいと感じる”といったことを聞いたことがありますが、
評価してみないことにはわかりませんし、仮にそうであったとしてもどの程度のレベルにあるのかを把握する必要があるかと思います。
(また痛みの修飾因子でもある心理社会的要因は、中枢性感作を媒体として痛みと関連があるといった報告もあります。)
Shigetoh H, Tanaka Y , Koga M et al : The Mediating Effect of Central Sensitization on the Relation Between Pain Intensity and Psychological Factors :A Cross-Section Study with Mediation Analysis. Pain Res Manag 2019 : 3916135,2019.
実際に私は臨床で中枢性感作に関連する評価として、
CSI(Central sensitization Inventory)というツールを用いているのですが、
夜間痛を繰り返している方や、仕事・家事動作などで痛みを出さざるを得ない方で当てはまることが多いように感じています。
原因としては以下のような報告もされています。
・末梢および中枢神経系ニューロンに可塑的変化
Suzie N, Filip S, et al : Central Pain Processing in Patients with Shoulder Pain: A Review of the Literature. Pain Pract17(2)267-280,2017.
定義にも”中枢神経系の侵害受容ニューロンの亢進した反応性”とありましたが、
肩関節周囲炎患者さんにおいても、繰り返される夜間痛や疼痛誘発動作など、痛み刺激が繰り返されることで起こりうるものだと感じています。
私が問診で気をつけていること
実際に私は初回介入もしくは2回目の介入でCSI(中枢性感作の評価ツール)を評価するようにしているのですが、
中枢性感作の関与が疑われない場合でも、炎症期の患者さんにおける問診で特に気をつけていることがあります。
それは
②疼痛回避の重要性については理解しているが、状況的に避けられないのか?
生活指導・セルフケア指導で気をつけていること
それでは最後に生活指導やセルフケア指導をする際に気をつけていることをお伝えしたいと思います。
まず問診で『①そもそも病態の理解や、痛みについての理解が不十分な状態』と判断された場合は、以下のような指導を検討しています。
・炎症症状に関わらず、痛み刺激そのものが持続することで神経系への影響から痛みを感じやすくなる場合がある
『②疼痛回避の重要性は理解しているが、状況的に避けられないのか?』と判断した場合は、以下のような指導を検討しています。
例)レジ打ちの仕事で、買い物かごを横にスライドする際に痛む ⇨ 健側を中心に引っ張り、患側は添えるだけにする
・どうしても避けられないようであれば、疼痛誘発動作の頻度を下げる工夫を一緒に検討する。
例)スーパーの品出しの仕事で、棚に持ち上げる時に痛む ⇨ 極力無理のない高さの品物を多く担当し、高い棚のものは他のスタッフにお願いする
これらの内容はあくまで一例であって、
患者さんの痛みの程度、疼痛誘発動作、持続期間、社会的背景など、個別性の高い要因によって臨機応変に対応する必要がありますので、
ひとりひとり思考錯誤しながら検討いきましょう!(^O^)
まとめ
・痛みを繰り返すことで、炎症だけでなく中枢性感作などの影響が関与する可能性がある。
・問診では、①病態や痛みへの理解があるのか、②疼痛回避の重要性は理解しているが避けることが難しい状況なのか、を聴取しておく。
・生活指導やセルフケア指導では、痛みの程度や疼痛誘発動作、社会的背景などを踏まえつつ、極力強い痛み刺激を避けられるように具体的な対処方法をお伝えする
・過度な安静は逆に痛みを強くする可能性があるため、痛みの無い運動や隣接関節の運動は積極的に行っていただく。
いかがだったでしょうか?
今回の記事では私の私見も多く含まれていますので、是非みなさんのご意見や普段の臨床で意識していることなどがあれば教えていただけたら嬉しく思います。
質問、ご指摘などありましたらSNSのDMなどで是非お願いいたします(^O^)