
みなさんこんにちは!初めまして!
新しく肩関節機能研究会の研究生となりました神藤(かんとう)です!よろしくお願いします!
普段は整形外科クリニックで運動器疾患を中心に担当しております。
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さて!今回初めての記事執筆となるのですが、最初のテーマは...
"鎖骨骨折への治療の進め方"
これでいきたいと思います!!
というのも、以前私が鎖骨遠位端骨折と診断された方を担当することになった際に、


そこで、同じような境遇になるかもしれない
・鎖骨骨折の簡単な概要。
・鎖骨に付着している組織のおさらい。
・鎖骨骨折を発症した症例の担当になったときに少し焦らなくなる。
5分ほどで読めるような内容にしたいので、今回は『概要』『解剖』について触れていき、次回の記事では『治療介入の考え方』について書いていきたいと思います!
それではいきましょう!よろしくお願いします!!
鎖骨骨折の病態
簡単に鎖骨骨折はその名の通り、「鎖骨の骨折」なのですが、全骨折中の3〜5%、肩甲帯骨折の35〜44%を占める比較的頻度の高い骨折です。
骨折部の位置、靭帯の損傷・骨片転位の有無や程度により手術適応となることもあります。
受傷原因としては、以下のものが多いです。
僕の経験則としてもこれらが原因であることが多いと思います。
僕の同級生でも、剣道有段者の母親からの突きを受けて鎖骨を骨折した子がいました(笑)
鎖骨骨折の分類として、
Allmanによる
TypeⅠ-中1/3(骨幹部)、TypeⅡ-外側1/3(遠位端)、TypeⅢ-内側1/3(近位端)とする分類がよく用いられており、比率は骨幹部が68〜81%、遠位端骨折が10〜15%を占めているとの報告があります。1)
私は現状では遠位端骨折を臨床で経験することが多いです!
そのため、私の臨床での印象では、遠位端骨折の比率が多いのではないかと考えていましたが、骨幹部骨折の方が多いようですね!
また、この分類のTypeⅡを「Neer分類」として分類しています。
Ⅱ型ー外側端は烏口鎖骨靭帯と固定されているが、烏口鎖骨靭帯の中枢側で骨折し転位したもの
Ⅲ型ー肩鎖関節にかけて遠位端の骨折しているもの
Ⅰ型、Ⅲ型ではクラビクルバンドや三角巾などの外固定を用いた保存療法が選択されることが多いですが、Ⅱ型では靭帯の損傷があり、手術適応となるケースが多いようです。
さらにこの分類はRockwood、Craigらによってアップデートされていて、日本では田久保分類や大根田分類というものもあるようです。
かなり細かく分けられているのですね!
ひとまず、ここまでは覚えておけると最低限の分類はできているかと思います。
分類だけでも種類が多くややこしかったですね。。。
鎖骨に付着している組織
それでは鎖骨周囲の解剖に入っていきましょう!
鎖骨に付着している組織を確認するためにまずは鎖骨の形状を確認しましょう。
この下のスライドは左鎖骨です。上の図では上面から、下の図では下面から見ています。
このように内側2/3は前方凸、外側1/3は後方凸となっています。
クランクシャフト様のS字状となっており、中1/3に剪断力が集中しやすくなっているのも、
骨幹部骨折が多い原因の一つであるとのことです。2)
付着部を理解しておき、画像初見で鎖骨骨折部を確認した際に、「〇〇の収縮は避けたほうが良さそう!」といったような仮説が立てられると良いですね!そこからDrとdiscussionしましょう!
続いて、鎖骨への付着している組織を見ていきましょう!
覚えやすいかなと思うので表層と深層に分けてみていきます。(個人的に分けて考えたものです。)
まずは表層です!
これらの中でも特に三角筋は、受傷時の打撃により損傷することが多いです。
軟部組織の損傷の有無は治療にも影響してくるので、
組織修復過程の遷延化をさせないようにする必要がありますね!
次は深層です!
このスライドを見ても分かるように、
鎖骨にはたくさんの筋や靭帯が付着しています。
骨折部位付近にどの組織が付着しているのかがすぐ浮かぶように復習しておきましょう!
肩甲骨や上腕骨と比較して着目されにくい骨な気がしてます。
しかし、挙上動作では肩鎖関節・胸鎖関節の動態理解が必要かと思いますので、しっかり勉強しておきましょう!
挙上時の鎖骨の動態は、研究生の老月さんのこの記事で触れてくれています!
深層の組織を確認しましたが、中でも先ほどの鎖骨骨折の分類でも指標として使われていた、
烏口鎖骨靭帯(円錐靭帯、菱形靭帯)の作用を下のスライドで確認してみましょう。
各靭帯の付着部・走行をイメージすると靭帯が緊張してくるのが分かりますね!
烏口突起の基部が下方へ移動するのか、尖端が下方へ移動するのかに着目してみましょう!
上記スライドのように烏口鎖骨靭帯は合同作用として、
肩甲骨の吊り下げ、鎖骨挙上抑制の作用があります。この共同作用はそれぞれの靭帯が別々の働きをした結果のものです。
烏口肩鎖靭帯の働きの一つの指標として肩鎖角というものもあります。
次のスライドで確認してみましょう。
この作用を知っておくと、烏口鎖骨靭帯の損傷の有無によって手術適応の判断が下されるのも頷けますね!
遠位端骨折のNeer分類Ⅱ型では烏口鎖骨靭帯の損傷も含まれているので、肩鎖関節安定性が得られ無くなり、手術適応となるケースが多いようです。
烏口鎖骨靭帯と一括りに呼ばれることも多いですが、分けて作用を知っておく方がよさそうですね!
まとめ
いかがだったでしょうか?
ここまで鎖骨骨折の概要と、鎖骨へ付着している組織についてまとめていきました。
今回は序章ということで、今日の内容を理解した上で次回の治療介入編を読んで頂けると
よりイメージが付きやすくなると思います!
初めての執筆で分かりにくい・不足していることも多々あるかと思います。
修正点等あればDMをしていただけると幸いです。
これから記事の質を上げていけるように頑張ります!
今後、鎖骨骨折を受傷した症例を担当する方の一助となれるような記事となっていたら幸いです。
ご拝読ありがとうございました!次回もよろしくお願い致します!
参考文献
1)織田 薫.鎖骨骨折及び肩鎖関節脱臼に対する理学療法診断の進め方.2021.理学療法.Vol.38 No1
2)齋藤 篤.鎖骨骨折の保存的治療-ボデイプランからみた鎖骨の特性-.2011.千葉医学.87.39~48
3)林 典雄.運動療法のための機能解剖学的触診技術 上肢.2005.198.
4)M.Ropars.Clavicle fractures.2017.Orthopaedics & Traumatology : Surgery & Research.S53~S59