腱板断裂の「縦方向」と「横方向」

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 腱板断裂の大きさって
「小断裂」「中断裂」「大断裂」「広範囲断裂」と4つに分類されることが多いですが、大きさの測定方法ってあまり知られていない印象です。

 

となると、MRIやエコーなどの画像を見た際に、「あれ?縦と横、どっちの長さを参考にすればいい?」という疑問を抱くことにもなります。

しかし、この縦・横のサイズについて言及している情報があまりないので、今回の記事では腱板断裂の【縦径】と【横径】について解説していきます!

 

腱板断裂には縦と横がある

みなさんは腱板断裂といえばどんな切れ方をイメージしますか?

きっと多くのひとはこのよう切れていると思っているのではないでしょうか?

アートボード 1 のコピー 10-50

書籍や論文などでも
このように前額面(正面から見た像)で腱板が断裂している様子を、イラスト化しているものをみかけるのではないでしょうか?

僕は学生の頃からこのイラストをよく見かけていたので、このイメージが頭に刷り込まれていました。(別に悪いわけではないと思いますが)

この前額面における正常像と断裂像の比較はこのような感じとなります↓

腱板断裂像 前額面-50

断裂像では、腱板(ここでは棘上筋という認識で良いです)が付着部である大結節から離れていることがわかるかと思います。

そして、これが腱板が【縦】に断裂している様子となります。

どのような感じがいまいちわからない人もいると思うので、腱板を上方から観察してみます。

アートボード 2-50

棘上筋に注目してください。

棘上筋の筋線維は近位(起始)から遠位(停止)に向かって走行していて、これを【縦】と定義します。

そして、この棘上筋の筋線維方向に対して直行しているものを【横】とします。

エコーを使ったことがあるかたは"長軸""短軸"というとわかるりやすいかもしれないですね。

腱板断裂が生じた際にこの【縦】と【横】の距離(長さ)を測定し、断裂のサイズを判断します。(測定方法はMRI,関節鏡視下,エコーなどを使用します)

【ポイント:腱板断裂の測定方法】
縦の距離=縦径(じゅうけい)
横の距離=横径(おうけい)

アートボード 3-50

ちなみに、このイラストでは棘上筋や棘下筋の付着部が本来とはことなっていますので、詳細を知りたい方はこちらをご覧ください↓

そして、この腱板断裂の「径」を指標として分類した有名なものに DeOrio & Cofield分類といったものがあります。

これは断裂の「最大径」によって断裂を分類するものであり、以下のような表現されます。

アートボード 4-50

そして断裂のサイズの詳細はこのようになっています。

小断裂   <1cm
中断裂   1cm~3cm
大断裂   3cm~5cm
広範囲断裂 >5cm

ただここで注意しておくべきポイント(というより、知っておいた方がいいこと)は、この分類はあくまでも「最大径」ということです。

つまり、「縦径でもいいし、横径でもいい」し、といった感じで、曖昧になっているようです。

『へぇ〜、そうなんだ。ってゆうか、そんなことあんまり気にしたこと無いし、そもそもどっちが切れてるかって大切なの?』

そう思う方もいるかもしれませんが…

実は、以前腱板断裂のope見学で執刀医に言われて困ったことがあります。

『この患者さんは横径の断裂幅が4cm以上あるから、あのままリハビリを継続していても改善はちょっと難しかったかもね。君はどう思う?』

と言われ…

「えっ…中断裂で?」

『いや、サイズは一応中断裂ですがここで重要なのは"横径"のサイズなんです』

「そうなんですね…ちょっと自分で調べてみます。」

と言ったようなことがあり、僕は答えれないとともに自分が断裂サイズのことだけしか知らなかったことを知りました。

縦に切れるのか?
横に切れるのか?

といったことで何が知れるのか?

次の項で解説します。

縦断裂と横断裂で予後が異なる?

これはあくまでも一つの論文での解釈になるのですが、「確かに」と思うところがあったのでシェアしますね。

この研究では腱板修復術を行った98例100肩を対象に腱板断裂のサイズや術前後の筋力・可動域などを比較しました。(無料で読めるので、詳細はご覧ください。)

結果ですが、タイトルにもある年齢と断裂サイズに関しては年齢が増加するにあたり断裂幅も長さが増大しました。

ただ、今回の着目したいのは断裂幅なので、そこについての内容を深堀りしていきます。

ここでキーになるのは断裂幅が4cmです。

腱板断裂の幅が4cm以上の症例は

術前・術後に関係なく4cm未満の症例と比較して挙上および外旋角度が小さかった(長さでは有意差がなかった)
術前において"外転筋力"は4cm未満の症例に比較して有意に低い(術後は4cm以上、未満ともに有意差が無くなっている)

となったようです。

また、ここで重要なのはこの「有意差」がどの程度臨床において重要な情報であるかです。

と、いうことで論文に記載してるグラフをもう少しみてみると…

角度に関しては
「挙上」で術前、術後ともに約20°の差
「外旋」で術前、術後ともに約10°の差

がありました。

外転筋力に関しては
MMTで1に満たない程度の差でした。

挙上角度の20°や外旋角度の10°といった可動域低下は、日常生活で支障をきたす可能性があると考えて良いかと思います。しかし、外転筋力に関してはそこまで大きな影響があるとは考えづらいですね。

最後に

みなさんは腱板断裂の幅を意識したことがあったでしょうか?今回はあくまでも腱板断裂の幅に着目してお話をしましたが、実際には断裂幅(横径)のみ大きくなることは少なく、長さ(縦径)も一緒に大きくなることが一般的です。

ですので、幅だけ着目するのではなく長さもしっかりと把握するようにしてみてください。

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