
こんにちは😄
肩関節機能研究会の研究生 柳沢涼(@dianoace1)です。
4月に行ったYouTubeライブセミナーでテーマとしました、『前方挙上』について解説していこうと思います。
今回は”挙上制限と外旋制限”をテーマに記事を書かせていただきます。
これを書こうと思ったきっかけは、肩関節を臨床で見始めたときに感じた疑問が始まりです。
それは、、、

前方挙上での肩甲上腕関節の運動学

外旋制限になる組織の考え方

外旋制限になる組織(肩甲下筋)
この章では、肩甲下筋と挙上動作について解説していきます。では、基礎解剖についてみていきましょう!
まずは、起始停止です。触診や介入時はここが大切になってくるので是非覚えましょう!
こちらは、肩研研究生の佐藤さん(@masagaze)が以前に作成した記事になります。肩甲下筋を勉強する上ですごく大切になってくる、”筋内腱”についての記事となっております。
私自身も”筋内腱とは何か?”この記事を読むまでは知りませんでしたが、筋内腱を勉強すると、腱板がなぜ肩関節で必要になってくるのかが理解できてきます。
是非、皆さん佐藤さんの記事も読んで勉強してみてください。
それでは、肩甲下筋と挙上動作について解説していきます。
高濱らの論文では、肩甲下筋と挙上制限との関係が書かれていました。
挙上角度が増大するにつれて肩甲下筋が制限因子として強く関与してきます!挙上角度が増大してくると”下部線維”が特に伸張されてくるため、肩甲下筋の中でも特に挙上制限の因子として上がってくると予想できます。
私が臨床で経験したことは、
『高いところの物を取れない』などの主訴を訴える患者様に対しての介入で、肩甲下筋下部線維への徒手療法を行った後に挙上角度増大し、『腕が上がりやすくなりました』と患者様から言われたことがあります。全てが肩甲下筋ではないと思いますが、アウターを緩めても挙上角度が増大しない場合も多いと感じております。その場合は、肩甲下筋を疑ってみてもいいのではないかと考えています。
何事も評価で始まり評価で終わると思いますので、まずはしっかり評価できるように私も努力していきたいと思います、この記事の情報が皆さんの臨床の小さな手助けになればと思います。是非、皆さんもこの記事を読んで挙上制限で悩む患者様を笑顔にしましょう!
先ほどは、可動域について解説しましたが、今度は”筋機能”についてです。
まずNeil A.Sharkeyらの論文ですが、棘上筋単体と棘下筋+小円筋+肩甲下筋の同時収縮を比較した際に、三角筋の筋力がどの程度減少するかという論文になっておりました。筋の割合が1:3であるため、後者の方が三角筋を援護すると考えられると思います。
しかし、腱板が三角筋とのフォースカップルを形成することで、これだけ負担が減ってくると考えられます。数値的には3〜4割かもしれませんが、アウターマッスルは速筋なので疲労しやすい特徴があるため、腱板の役割は3〜4割以上のものであると考えています。
中山らの論文では、内外旋中間位での屈曲では60°⇨120°⇨下垂位の順でトルクが高くなったと報告しております。私個人的には、この論文では3つの角度のみですが、他の角度ではどう変化するというところが気になっています!
これから考えられることは、挙上する際に肩甲下筋の筋機能が大切になってくることです。
先ほどは柔軟性が必要と解説しましたが、柔軟性が高まっても筋機能が低いと再度タイトネスにつながってくるのではないかと考えています。
なぜなら、筋はポンプ作用があり、収縮弛緩に伴って血流が促通されてきます。しかし、弛緩だけではどうでしょうか?ポンプ作用が上手く作用せずに血流循環が良くならないと考えます。そのため、筋の硬さを生んでしまうと思っています。私が介入する際は、柔軟性を出した際は収縮をしっかり入れるようにしています。
また、この論文から学び工夫している点は、屈曲60°でトルクが高いという結果から1番60°で筋発揮がしやすいということであるため、挙上60°で腱板exを行っています。まずは、入りやすい角度から収縮を入れていくことも必要であると考えています。
では、次に外旋制限に関与する組織で有名な”烏口上腕靭帯”について解説していきます!
外旋制限になる組織(烏口上腕靭帯)
烏口上腕靭帯の解剖から解説していこうと思います。まずは、起始停止についてです。以下の画像をご覧ください。
矢状面では、このようになっています。
烏口突起の基部から始まり、大結節と小結節の両方に付着しています。
これを考えると、1つの疑問が生まれました。

次の画像をご覧ください。
Arai R et al:The anatomy of the coracohumeral ligament and its relation to the subscapularis muscle:Journal of Shoulder and Elbow Surgery,23(10),1575-1581,2014を改変して引用
烏口上腕靭帯の走行で大切なことは
という点です。
そのため、外旋制限だけではなく、内旋制限にも関与してくるのではないかと考えられます。今回は外旋制限について解説しておりますので、”烏口上腕靭帯と内旋制限”については次回以降の記事でまとめた際に共有させていただきます!
今回のポイントは”肩甲下筋を包み込んでいる”という点です。肩甲下筋にタイトネスが生じた際は烏口上腕靭帯にも影響が出てくるのではないかと考えています。

では、烏口上腕靭帯はどの肢位で伸張するのか論文を元に解説しようと思います。
C SunらとT Izumiらの論文から”外旋・内転・伸展”で伸張されることが分かります。
烏口上腕靭帯へストレッチを行う際はこのような肢位で行うと良いと考えます。
しかし、疼痛も発生することも多いため、ストレッチするべきか他の組織への介入をするべきか評価した上で介入していきましょう!
私はここで1つ疑問が生まれました。

烏口上腕靭帯の線維としてこのような特徴を持っています。
しかし、炎症などにより瘢痕化が進んでしまうと、Ⅰ型コラーゲン線維に変化してしまうために伸張性が乏しくなってしまいます。
烏口上腕靭帯と肩関節疾患炎症期
私は、走行と伸張性の増大だけで烏口上腕靭帯が外旋制限になるということが理解できなかったため、実際に介入を行なって外旋可動域が改善した論文を探しました。
本記事では2つ論文をご紹介します。
烏口上腕靭帯をリリース後に1st外旋の可動域改善が見られたと解説されています。このことから、烏口上腕靭帯は外旋制限にとても関与してくると考えました。外旋制限に難渋する際は烏口上腕靭帯への介入も考えてみましょう!
烏口上腕靭帯への介入も大切ですが、先ほどの瘢痕化のことを考えてみるとどうでしょうか?
臨床で経験したことを含めて解説します。臨床では、肩関節周囲炎や術後早期患者では、炎症期を担当すると思います。その際に、肩鎖関節周囲に炎症が強い時期に肩甲上腕関節に強い刺激を加えてしまうと、烏口上腕靭帯の瘢痕化を助長してしまい、伸張性が乏しくなることで可動域制限に対する介入に難渋してしまうことがあります。
そのため、炎症期の時期の対応はポジショニングなどの指導をしっかり行い、炎症を早期に抑制することが必要となります。ポジショニングは私はこのように指導を行っています。
矢状面と前額面、水平面ごとにのポイントをまとめたのがこちらです。
前額面では肩甲上腕関節軽度外転位となるようにする
水平面では肩甲上腕関節軽度内旋位になるようにクッションを抱えてもらう
できるだけ内圧が増大しないような肢位でポジショニング指導を行っています。なぜこのような肢位を取るのか?気になる方もいらっしゃると思いますので、以前私が書いた夜間痛のリンクも載せますのでそちらも合わせてご覧ください。
炎症期場合は、Dr.と連携を取ることで注射を注射を打ってもらうことも必要なケースもあります。私は、この知識を得てからDr.とのコミュニケーションをより大切にするように心がけるようになりました😄
皆さんもDr.とのコミュニケーションを積極的に取っていきましょう!
まとめ
これまで情報がたくさんであるため、まとめを作りました。
②肩甲下筋の柔軟性低下、特に下部線維は挙上制限に大きく関与する。
③肩甲下筋は挙上60°で最大トルクを発揮しやすいため、筋出力低下も挙上制限に関与する。
④烏口上腕靭帯は”棘上筋””棘下筋””肩甲下筋”を包み込むように走行している。
⑤烏口上腕靭帯のストレッチ肢位は肩甲上腕関節”伸展・内転・外旋”である。
⑥烏口上腕靭帯はⅢ型コラーゲンで伸張性と弾力性に富む疎性結合組織である。
今回は挙上制限と外旋制限について執筆させていただきました。私の臨床での疑問解決をきっかけにたくさんの知識を得られたと個人的に感じています。この記事が皆さんの臨床に少しでもお役に立てたら幸いです。まだまだ、未熟な部分が多いですが、今後も患者様を治すためにいろんな記事を執筆していこうと思いますので、今後ともよろしくお願い致します😊
最後に少し宣伝になります。
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以上、肩研研究生の柳沢でした。