
こんにちは
肩関節機能研究会の柳沢涼(@dianoace1)です。
今回は、肩関節疾患における夜間痛について解説していこうと思います。
まずは、私の臨床での悩みからお話しようと思います。
臨床1年目をもうすぐ終えようとしていますが、その1年目で悩んだ事の中で上位に入ってくるのが、”夜間痛”です。
夜間痛は肩関節周囲炎の炎症期や腱板術後などの対応時に、とても介入で悩まされました。

②今積極的に肩甲上腕関節に対して介入を進めていいのか?
③Dr.に注射を依頼した方がいいのか?
特にこの3点について悩まされました。

では本編に入っていきましょう!
夜間痛の主な原因
夜間痛の主な原因は、、、”肩峰下圧の上昇”です。
上記の画像のように上腕骨が上方偏位する事によって、肩峰下圧は上昇します。
しかし、上腕骨の上方偏位だけでなく、上方組織の肥厚などによっても肩峰下圧は上昇するため細かく評価することが必要であると考えています。
細かい肩峰下圧上昇の種類について次に解説していこうと思います。
夜間痛の種類
夜間痛の種類は主に2つあると言われています。
肩峰下圧上昇を引き起こす原因として1次的要因と2次的要因がある
林典雄ほか:夜間痛を合併する肩関節周囲炎の可動域制限の特徴とX 線学的検討~運動療法への展開~,The Journal of Clinical Physical Therapy 7:1-5,2004
1次的要因とは、、
上記スライドのような原因が考えられると言われています。
臨床で肩関節周囲炎炎症期や術後早期の対応で、皆さんが1番考える夜間痛はこの”一次性”ではないでしょうか?
こちらの介入では、私は特に”ADL指導”をメインに行っています。
ADL指導とは、”ポジショニング指導”です。
まず夜間痛は夜寝れないことが主訴のため、寝られるような姿勢を指導します。多くの方は肩甲上腕関節伸展位の姿勢を取ってしまい、肩峰下圧が上昇してしまいます。

このような疑問を抱く人も多いのではないでしょうか?
理由は、寝られないことで交感神経優位になります。それにより、血管や筋肉が収縮や緊張を生じさせて血行が悪くなります。その結果、筋スパズムが起こり発痛物質が発生しやすくなることで疼痛につながります。
ポジショニング指導については、後ほど解説します。
次に2次的要因とは、、、
上記のスライドのような原因が考えられると言われています。
2次的要因は癒着などによって軟部組織に過度な伸張ストレスが生じてしまい、疼痛につながっているものが多いと考えられます。
また、癒着によって肩甲上腕関節が求心位を取ることが出来ずに肩峰下圧上昇につながることも予測できます。
臨床での介入では、炎症ではないため徒手療法や運動療法が主な介入方法になってくると考えます。
NRSなどで疼痛の程度を聴取し、NRS3〜4程度の痛みであれば介入を行なっています。
※これは論文などで得た知識ではないため、あくまでも自論となります。申し訳ありません。
炎症と癒着をしっかり評価しないと、拘縮を進めてしまいROM制限改善に難渋してしまうことも考えられるため、評価に迷ったらDr.や上司に相談しています。
肢位による肩峰下圧の変化

山本宣幸ほか:腱板断裂患者の夜間痛について−アンケート調査ならびに肩峰下滑液包の圧測定−:肩関節,27巻 第2巻,259−262,2003
上記のスライドのように”患側下の側臥位”が1番圧が高まりやすいということが分かります。
これから第1位から第3位まで圧がどのように変化していくか説明していこうと思います。
山本宣幸ほか:腱板断裂患者の夜間痛について−アンケート調査ならびに肩峰下滑液包の圧測定−:肩関節,27巻 第2巻,259−262,2003
立位では、上肢の重さで肩峰下腔が広がる事によって圧が減少すると報告されています。
このことから、癒着などによって肩峰下圧が上昇して夜間痛が生じている患者には、”立位”でのエクササイズがいいのではないかと考えています。
回旋制限が生じやすい患者に対して、立位下垂位での腱板exを低負荷で行うことで、肩峰下圧の上昇を軽減させた状態で腱板の促通が行いやすいと考えました。
また、2次的要因の場合に腱板筋の筋スパズムが生じていることも考えられるため、収縮ー弛緩を反復的に繰り返す事によって改善を図る事も介入で行なっています。
次は仰臥位についてです。
山本宣幸ほか:腱板断裂患者の夜間痛について−アンケート調査ならびに肩峰下滑液包の圧測定−:肩関節,27巻 第2巻,259−262,2003
側臥位では、立位よりも肩峰下圧は上昇すると報告されています。
腱板断裂者では、腱板筋による骨頭を関節窩へ引きつける力が減少するため、三角筋剪断力が加わり骨頭上方偏位が助長される。
健常でも、三角筋過緊張などにより、剪断力が増大すると骨頭上方偏位が助長されることも考えられるため、リラクゼーションを図ることはとても大切になってくると考えます。
これには、リハビリでのリラクゼーションだけでなく自宅でのリラクゼーションがとても大切です。
そのために”ポジショニング指導”が重要になってきます。
それでは、私が普段行っているポジショニング指導を解説していこうと思います。
私が行なっている介入は、タオルを上腕部の下に敷き肘を上腕よりも高い状態します。(上の写真です)
理由は、肩甲上腕関節伸展位では肩峰下圧が上昇し疼痛につながってしまうからです。よって上の写真のようにすると、肩甲上腕関節屈曲位になり、肩峰下圧が減少することができると考えています。
さらに、クッションを持つ事により内旋位に入りにくいため、疼痛が生じにくい肢位を取りやすくなります。
私は、それに加えて肩甲上腕関節軽度外転位を取るように指導することで、肩峰下滑液包などの上方組織の伸張ストレスを軽減させるように介入しています。
次は側臥位についてです。
山本宣幸ほか:腱板断裂患者の夜間痛について−アンケート調査ならびに肩峰下滑液包の圧測定−:肩関節,27巻 第2巻,259−262,2003
側臥位では、床からの抗力を更に受けることにより肩峰下滑液包の圧排が強くなると言われています。
ここからは私の見解なのですが、
側臥位により肩甲上腕関節内転位に入り外転筋である”三角筋中部””棘上筋”そして上方軟部組織である”肩峰下滑液包”に伸張ストレスが加わり疼痛が生じるのではないかと考えます。
さらに上腕外側部が圧迫を受けることで、三角筋下滑液包に圧迫ストレスが生じて疼痛が生じるのではないかと考えます。
まとめ
②夜間痛は”炎症”による1次性と”癒着”などによる2次性に分けられる。
③患側下の側臥位が1番圧が上昇しやすい。
④炎症と癒着をしっかりと評価し、介入することで拘縮予防ができる。
⑤夜間痛の”ポジショニング指導”はとても大切である。
今回は、肩関節疾患の介入で難渋しやすい夜間痛についてでした。
最近では、血管による影響なども見解が出てきておりアウトプットされています。そちらについても、今後しっかりインプットした上で皆さんにアウトプットさせていただこうと思います。
皆さんの臨床に少しでも役に立てれば幸いです。
まだまだ、未熟者ですが臨床で悩んだことを経験談も含めてアウトプットさせていただきますので、今後ともよろしくお願い致します。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
以上、肩関節機能研究会の柳沢涼(@dianoace1)でした。
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