
皆さん、こんにちわ。
肩関節機能研究会サロンメンバーの
土田です。
今回はオーバーヘッドスポーツ選手やデスクワークの人に多くみられる。
胸郭出口症候群(斜角筋症候群)
について書かせて頂きます❗️
早速ですが、皆さんは胸郭出口症候群の患者さんを担当したことはありますか?
僕は主病名が胸郭出口症候群の患者さんは担当した事がありません。
2年目ということもあり、経験できている症例が少ないこともありますが、主病名が胸郭出口症候群で介入することは少ないのではないでしょうか?
僕は今までの臨床経験から症例数は少ないのかなと思っていたのですが、、、
僕はこの記事を書いてから、臨床の中で、、、
『あれ?これはもしかして胸郭出口症候群の兆候があるのでは?』
と臨床の中で感じることが増えました❗️
今回の記事では、、、
・胸郭出口症候群と肩関節疾患が関係あるの?
という方にはオススメの記事です。
今回は、胸郭出口症候群の中の
『斜角筋症候群』
を深掘りして書きましたので、是非、最後まで読んでみてください。
必ず、臨床で観る視点・考える事が増えます。
1、胸郭出口症候群とは?
まずはじめに、胸郭出口症候群の病態から学んでいきましょう。
簡単に胸郭出口症候群は上記の通り
『腕神経叢や鎖骨下動脈に起因する上肢の痛みや痺れを有する疾患』
のことを指します。
胸郭出口症候群は
″血管性″と″神経性″
に分ける事ができ、95〜98%は腕神経叢過敏状態を呈する神経性TOSであることがわかっています。1)
さらに神経性TOSは圧迫型、牽引型、混在型に分類する事ができ、75%は混在型であると言われています。
そして神経性TOSでは三つの生理的狭窄部位があります。
・斜角間隙
⇨前方を前斜角筋、後方を中斜角筋、下方を第一肋骨にて構成される空間
・肋鎖間隙
⇨上方を鎖骨および鎖骨下筋、下方を第一肋骨にて構成される空間
・小胸筋下間隙
⇨前方を小胸筋、後方を胸壁にて構成される空間
です。皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
とても大事な部分なので、今日で覚えましょう😃
そして、
この三つの狭窄部位に応じて、肩関節疾患への影響が変わってきます。
今回は斜角間隙での障害⇨斜角筋症候群のみの内容となります。
僕がnoteの方で書いている記事には、三つ全ての症候群について書いているので、お時間ある方はこちらをご覧ください。
胸郭出口症候群のおおよその病態は把握できる内容になっていると思います。
2、斜角筋症候群
斜角筋症候群は前斜角筋・中斜角筋の間で起きるストレスにより、腕神経叢が圧迫されます。
二つの筋肉ともに第一肋骨に付着し、第一肋骨が挙上位にある事で前斜角筋・中斜角筋が短縮位に、下垂位にあると伸張ストレスにより腕神経叢に絞扼・ストレスがかかりやすくなります。
そして三つの間隙の中で斜角筋症候群だけ大きな特徴があります。
それは、、、
肩甲上神経・長胸神経の絞扼
(※肋鎖間隙・小胸筋下間隙では絞扼されません。)
↓
肩関節周辺の筋力低下
上記の通り、斜角間隙で神経絞扼が起きる事で肩関節〜肩甲骨周囲の筋力低下が起きる可能性があります❗️
覚えておきたいことは
肩甲上N・肩甲背N・長胸Nは鎖骨下方を通らない
⇅
肋鎖間隙・小胸筋下間隙では絞扼されない
ということです‼️
僕はこの事を勉強した時にハッとしました。
今はTOSの症状が肩周囲に影響を及ぼすのでは‼️
という流れを説明していますが、、、
凍結肩の患者さんで内転制限がある方を想像してみてください。
想像できない人はこれを見てください。
想像出来る人も笑顔になれるので見てください。
そうなんです、肩甲骨を下方回旋させて見かけ上の肩関節内外転0°としています。
肩甲骨が下方回旋する事で鎖骨のアライメントが変化します。
肩甲骨下方回旋
↓
鎖骨下制・前方回旋
↓
斜角筋伸長位
↓
斜角間隙の狭小化
に繋がるのでは?と僕は思いました。
加えて肩甲挙筋などが短縮位、僧帽筋上部繊維や前鋸筋が伸長位の状態となり、、
肩挙上制限や、肩こり、頸椎アライメントの変位
など様々な疾患の要因にも繋がります。
と相互に影響を与える事もあるのではないでしょうか?
3、斜角筋症候群と肩疾患の鑑別
前述した通り、斜角筋症候群では肩甲上N・長胸Nが絞扼されます。
(※斜角間隙では肩甲背神経は絞扼されず、中斜角筋の筋緊張により、絞扼されます。)
つまり、斜角筋の筋緊張の変化により、この三つの神経に支配されている筋肉が各々筋力低下が起きます。
今回は肩甲上神経を例にして考えてみましょう。
肩甲上神経は棘上筋・棘下筋を支配しています。
絞扼される事で、この二つの筋力低下が起きる可能性があります。
そして臨床において最も大事な事が、
腱板断裂・損傷による筋力低下と胸郭出口症候群による筋力低下
を鑑別する必要があります。
まずはMMTなどで棘上筋・棘下筋の出力をチェックします。
プラスで『Full can test』『ISP test』『Drop arm test』などを行うのも良いと思います。
この際、疼痛の有無・疼痛部位や肩甲骨の把持で筋出力が変わるか、などをしっかりと確認しましょう。
そして肩甲上神経の障害は肩甲切痕症候群と棘窩切痕症候群の二つの症候群に分類される事を覚えておきます。
⇨droparm test、ISPtestなどで陽性になる可能性がある
棘窩切痕症候群・・・ISPのみ筋力低下が起こる
⇨ISPtestのみが陽性になる可能性がある。
このように肩甲上神経の障害でもどこで絞扼されているかによって、筋力低下が起きる筋肉が変わってきます。
こちらの図は下方回旋することによる肩甲上神経の牽引ストレスを表しています。
上記のように肩甲骨マルアライメントが神経に対して
″どのようなストレスを与える可能性があるか″
を想像出来ることはとても大事であると考えます。
しっかりと神経の走行まで理解できると良いですね😄
さらに、、、
・肩甲骨だけでなく、胸郭の形状や座位姿勢からの関与
・二つの症候群(肋鎖症候群・小胸筋症候群)と二つの神経(肩甲背神経・長胸神経)の影響
も考えられると臨床の幅がとても広がると思います。
考えなければいけないことはたくさんありますが、臨床の中で注意しなければいけないのは腱板断裂・損傷との鑑別だと思います。(ここの評価が出来ないと全く見当違いな介入をしてしまう可能性がありますね)
腱板損傷・断裂自体は無症状な事が多いので、圧痛の有無や画像初見と胸郭出口症候群・腱板断裂のスペシャルテストを確認しながら評価していくべきです。
「斜角筋の緊張を緩和する事で筋力の回復が見られなかったら腱板損傷による問題なのでは?」
「介入後に筋出力が即時的に改善されるのであれば、TOSによる影響が強かった?」
(腱板損傷では構造的な破綻なので大幅な筋出力の向上はないと僕は考えます)
と多角的な視点が必要になるかと思います。
4、まとめ
ここまでの内容はいかがでしたでしょうか?
なんとなくでも、胸郭出口症候群と肩疾患についての関係性を理解していただけたのではないでしょうか?
最後に簡単なまとめになります❗️
⇨胸郭出口症候群のテストや腱板断裂のテストを使い分け、多角的な視点で評価する事が大事である
今回の内容は自分の考えを述べている部分もあり、分かりづらい部分や説明不足の部分もあったと思いますので、是非アドバイスやご意見お持ちしております。
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よろしくお願い致します❗️
1)著者:林 典雄 整形外科運動療法ナビゲーション下肢編 整形外科リハビリテーション P 18-19
2)著者:林 典雄 運動器疾患の機能解剖に基づく評価と解釈ー上肢編ー P67