肘関節伸展可動域の制限因子と介入

こんにちは。

肩関節機能研究会の郷間@FujikataGomaです。

本記事では『肘関節伸展可動域の制限因子』について解説し、最後に具体的な臨床応用まで解説していきたいと思います。

 

なぜ肩関節機能研究会の限定記事で肘関節の投稿をするのかというと、

理由はすごく単純で“肩関節に非常に関与している”からです。

 

特に、今回の主題でもある”肘伸展制限”は肩関節への影響も非常にあります。

詳細に関してはこちらの記事をご覧ください(^-^)

https://shoulder-function.com/elbow-shoulder/

では、本題(肘関節伸展制限)に戻りたいと思います。

 

そして、今回は珍しく結論からお話しします。

 

肘関節の制限に関与する因子は、主に5つ挙げられます。

肘関節伸展制限に関与する因子
① 上腕筋や上腕二頭筋の伸張性低下
② 肘前方関節包の短縮
③ 肘後方関節包の詰まり(いわゆる後方インピンジメント)
④関節窩周囲軟部組織の肉芽形成による肥厚
⑤ 異所性骨化 

このように並べると肘伸展制限だけでも結構多いですね。

ではここからは、これら5つの肘関節伸展制限の因子に対して、一つひとつ解説していきたいと思います。

それではいきましょう!

郷間
意外と肘伸展制限の患者さんって多いですよね💦
これを機に、ポイントだけでもしっかりと抑えておきましょう!

① 上腕筋や上腕二頭筋の伸張性低下

上腕筋や上腕二頭筋の伸張性低下は脳血管疾患患者の介入経験がある方々はイメージしやすいかと思います。

この肢位は
“伸張反射の亢進により生じる上位運動ニューロンの障害”にあたる痙縮です。

痙縮は上肢屈曲パターンによる肘関節伸展制限が生じることが多いですよね。

※写真は上肢屈曲パターン例
(肩関節内転・内旋、肘関節屈曲、手関節屈曲)

筋肉の伸張性低下は肘伸展制限の要因として、非常にイメージしやすくシンプルですが、病態として考えると私は非常に難しいという印象をもっています。

もちろん、肩関節術後や外傷性脱臼後に着用する三角巾やスリング、肘関節のギプスなど長期固定による屈筋群の短縮も考えられます。

このパターンの予防は医師、看護師、療法士が上手く連携をとる必要がありますね。

特に入院中の患者さんに関しては、看護師さんの働きに頭が上がりません。

② 肘関節前方関節包の短縮

 

次に①でお話しした筋肉の深層に位置する関節包について解説します。

肘関節関節包は腕尺関節、腕橈関節、近位腕尺関節すべてが同一の関節腔内に含まれています。

例えば、後方関節包が短縮した場合は肘屈曲可動域が低下します。

関節包は同一腔のため前方関節包にも影響してきます。

そのため、後方関節包の短縮にも関わらず、肘伸展にも影響するというわけです。

しかし動意付くというのはデメリットばかりではありません。

関節包が同一ということを逆手に取り、前方関節包以外から間接的にアプローチをしていくことも不可能ではないということです。

③肘後方関節包の詰まり(いわゆる後方インピンジメント)

肘伸展時に後方関節包や肘後方脂肪体が詰まることで物理的に肘伸展制限が生じることもあります。

こちらは今回のメインになるかと思います。

まずは肘関節後方の解剖からおさらいしていきましょう。

肘関節後方(腕尺関節)は上腕骨肘頭窩と尺骨滑車切痕からなる蝶番関節です。

肘頭窩の上には肘後方脂肪体が存在し、円滑な肘屈伸運動を可能としています。

また、肘後方脂肪体の表層には肘後方関節包が存在し関節安定性に寄与しています。

さらに、上腕三頭筋内側頭は肘後方関節包にも付着部を持ちます。

そのため、上腕三頭筋内側頭の収縮に伴い後方関節包および後方脂肪体を近位へ引き出しインピンジメントが生じないよう機能しています。

~肘後方の解剖~
上腕三頭筋腱

上腕三頭筋腱内側頭

後方関節包

後方脂肪体

肘頭窩

では実際にエコーで動態を観察してみましょう。

このように”上腕骨に対する長軸像では肘伸展運動に伴い、近位に押し出される肘後方脂肪体”を観察することが可能となります。

④ 関節窩周囲軟部組織の肉芽形成による肥厚
⑤ 異所性骨化 

こちらの2つの因子に関しては合わせてお話していきます。

まず、関節窩への肉芽組織の浸潤異所性骨化には非常に注意が必要です。

伊藤らは29例の肘関節拘縮を手術して、その原因は肘関節後内側、後方の異所性骨化が最も多く、次いで関節包の肥厚、瘢痕化をあげています。

異所性骨化の原因として、暴力的な徒手強制などが挙げられ、私たちセラピストの介入により症状を悪化させてしまう可能性も十分あります。

治療の選択としては物理療法の併用や愛護的な自動収縮訓練が望ましいと言われています。

▪肘関節拘縮の原因として、肘関節後内側、後方の異所性骨化が最も多く、次いで関節包の肥厚、瘢痕化が多い。
            伊藤恵康:外傷性肘関節拘縮の治療.整形外科MOOK54,p186-194,金原出版,1988.

下のスライドは投球選手に頻発する肘関節後内側肘の異所性骨化を特徴とする病態で、Valgus Extension Overloadと言われています。

F D Wilson,et al. :Valgus extension overload in the pitching elbow. Am J Sports Med;11(2):83-8. 1983.

いずれにしても、肘関節伸展制限に対しての可動域訓練は愛護的な治療が望ましいということが分かってきますね。

 

肘関節伸展制限に対するリハビリテーション

最後に、紹介してきた肘伸展制限の因子に対するリハビリテーションの一部をご紹介していきたいと思います。

今回は”③肘後方関節包の詰まり”に対するリハビリテーションを約5分間の動画にまとめてみました。

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