腋窩神経〜解剖〜

みなさんこんにちは!

肩関節機能研究会の柳沢涼(@dianoace1)です😄

今回から解剖学についてシリーズ化して記事を書いていこうと思います。第1弾は”腋窩神経”です。

臨床で肩の痛みの原因として腋窩神経が関与することも多いと感じております。しかし、腋窩神経の走行などをしっかりと理解できていなかった私は、肩の痛みに対してうまく解釈ができませんでした。

 

柳沢
同じような事を思った方もいるのではないでしょうか?

 

この記事が皆さんのお役に少しでも立てれば幸いです😄

では、内容に入っていきましょう!

腋窩神経の解剖

皆さんも国家試験で神経の走行や支配する筋について勉強されたと思います。国家試験レベルでは、下記のように覚えられたと思います。

 

下記のスライドをご覧ください。
私は、”前枝”と”後枝”で分けては覚えられていませんでした。そして腋窩神経は肩甲下筋の外側で分枝する事がわかります。神経を伸張し神経症状の有無を確認する際には、まずはこのように腋窩神経がどこを通ってどこで分枝するのかというところが大切になってきます。
ここで私は1つの疑問が浮かびました。

柳沢
前枝は肩前面に分布するけど他の組織を支配しているのか?
この1つの疑問から論文を探した結果、2つの組織に分布することが分かりました。
では、下記のスライドをご覧ください。
まずは”肩峰下滑液包”です。肩峰下滑液包は前枝から分岐した枝(三角筋前中部に分布する)が分布します。
臨床において肩峰下滑液包は疼痛の原因となりやすい組織の1つです。肩峰下滑液包の解剖や疼痛については以前に私が執筆する記事がありますので、是非こちらも読んでいただけると幸いです。
肩峰下インピンジメントなどにより、肩峰ー大結節間で挟まれると肩峰下滑液包は自由神経終末が豊富なため疼痛が生じやすいです。棘上筋が挟まれることは多くの方に知られていますが、棘上筋の上方に肩峰下滑液包が位置する事を考えると、肩関節の臨床において腋窩神経が肩峰下滑液包を支配していることは重要になると考えます😄
2つ目の組織はこちらになります。
上腕二頭筋長頭腱にも分布しているようです。
これは論文を読んだ際に私自身1番驚いた情報でした。腋窩神経が上腕二頭筋長頭腱にも分布しているのであれば、肩前方部痛に腋窩神経が関与してくるのではないかと考えました。あくまでも私自身の予想ですが、上腕二頭筋長頭腱炎や手術で上腕二頭筋長頭腱に処置をした場合に、肩前方部痛が中々取れない場合は腋窩神経由来の症状も考えられるのではないかと思います。
実際に、どのように評価するなどの方法に関しては、まだ考えられていない状況ですが解剖の知識としてこの情報を入れておくと、臨床推論に少しでも役立つと感じました。

柳沢
腋窩神経ってすごい有能で深い神経だなと感じます

H Nasu et al:Distribution of the axillary nerve to the subacromial bursa and area around the long head of       the biceps tendon.Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc.23:2651-2657,2015を改変して引用

腋窩神経が関与する臨床症状

では、臨床で1番腋窩神経が関与してくる病態は何でしょうか?

それはやはり、、、QLSだと考えています。

悩む人
QLSってなんだっけ?

柳沢
一緒に復習してみましょう!

QLSは”Quadrilateral Space”の略でスライドの通り”小円筋””大円筋””上腕三頭筋長頭””上腕骨”で囲まれた間隙のことを言います。臨床では、オーバーヘッドスポーツ選手の肩関節の疼痛の原因として多くみられています。

悩む人
でも腋窩神経とは何の関係があるの?

このような疑問をお持ちになる方もいるのではないでしょうか?

では、下記のスライドをご覧ください。
QLS内を”腋窩神経”と”後上腕回旋動脈”が走行します。ということは、QLS内が狭窄することによって腋窩神経は圧迫ストレスを受けるということになります。そのため、私は臨床で腋窩神経領域に症状が出現した場合はQLS症状の可能性も視野に入れています。

悩む人
腋窩神経領域って実際どこ?

そのような悩みをお持ちの方はこちらをご覧ください。

腋窩神経の神経領域はC5〜C6であるためこのような支配領域になります。私の臨床での気づきですが、肩関節疾患ではこの辺りの疼痛を訴えることは多いと感じております。そのため、腋窩神経の症状であることも多いのではないかと考えております。
しかし、頸部付近の症状は頚椎神経根症状の可能性もあるため、Spurling testやJackson testなどで頚椎由来の症状を排除する必要があると考えます。
肩外側痛に関しても同様です。肩甲上神経由来の可能性や他の要素の可能性も考えられるため細かい評価が必要となります。評価についてはまた別の機会で記事にしようと思います。

まとめ

ここまで長々と説明してきましたが、読んでくださった皆さんに私がお伝えしたかった事は以下の事です。

①腋窩神経は前肢と後枝に分けられます。
②腋窩神経に支配される組織は三角筋小円筋の他に”肩峰下滑液包””上腕二頭筋長頭”がある。
③QLS内を腋窩神経が走行するため、QLS症状で腋窩神経領域に疼痛が出現する。
特に②は覚えていただきた事項です。まだまだ読めていない論文があると思いますので、腋窩神経についてさらに知識がついた際はアップデートして皆さんに共有したいと思います😄
臨床2年目でまだまだ未熟なところだらけですが、1人でも多くの方のお役に立てればという思いでアウトプットしておりますので、ご意見やアドバイスある方は是非DMでもよろしいのでご連絡いただけると幸いです🙇‍♂️
次回も解剖シリーズで投稿いたしますので楽しみにお待ちください。
以上、柳沢でした。

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