
こんにちは。
肩関節機能研究会の郷間(@FujikataGoma)です。
今回は『烏口上腕靭帯の外旋以外の制限』について解説していきたいと思います。
一般的には烏口上腕靭帯=瘢痕化すると下垂位外旋制限が生じるというイメージが定着しているかと思います。
ですが、烏口上腕靭帯は下垂位外旋運動以外にも様々な可動域の制限に関与し得ると言われています。
本記事を読んでいただくことで、一般的に知られている烏口上腕靭帯の機能障害からさらに掘り下げた知見を得られるかと思います。
本記事をきっかけに少しでも臨床にお役立てできれば幸いです(^-^)ノ
それでは一つずつ解説していきたいと思います!
▪烏口上腕靭帯についてさらに掘り下げたいと思っている方
本記事は3~5分ほどで読み切ることができますので、ぜひ最後まで読んでみてください(^-^)
烏口上腕靭帯は外旋以外にも関与するのか
多くは知られていない事実ではありますが、烏口上腕靭帯は外旋以外にも制限因子となる運動が多くあります。
そのなかでも重要なポイントがあるのですが、
烏口上腕靭帯は”瘢痕化すると外旋以外の運動にも関与”していきます。
今回はこの瘢痕化がキーワードになってくるのですが、
本記事では瘢痕化を解説してしまうと少し複雑になってしまいますので、
【瘢痕化】についてはこちらの記事でご覧ください。
では実際に外旋以外ではどのような動きが関与してくるのでしょうか?
金澤 憲治,他:烏口上腕靭帯は肩関節内旋制限に関与するか.肩関節39(2):405-408,2015
https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu/39/2/39_405/_article/-char/ja/
烏口上腕靭帯は下垂位外旋がもちろん、下垂位内旋や水平内転、外転内旋、屈曲内旋にも関与しうると報告されています[1]。
Yoshihiro Hariwara,et al:Arthroscopic Coracohumeral Ligament Release forPatients With Frozen Shoulder.Open Orthop J. 2018; 12: 373–379.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6151962/
実際に凍結肩の患者に対して関節鏡視下で烏口上腕靭帯をリリースすると、外旋および内旋可動域が拡大したという報告もされています[2]。
このようにスライドから見ていただきたいのですが、瘢痕化してしまった烏口上腕靭帯は外旋で緊張し内旋でも緊張し得るのです。
イラストのみだとイメージし難いと思いますのでこちらの動画もご参照ください。
外旋では正常な烏口上腕靭帯と同様に外側(画面右側)を向いているのですが、内旋時は正常動態とは異なり上腕骨頭に引っ張られるようにして深層(画面右下)を向いている動態が観察できます。
この動態からも瘢痕化したことによって内旋制限にも関与していることがわかってきますね。
まとめ
✓烏口上腕靭帯は下垂位外旋がもちろん、下垂位内旋や水平内転、外転内旋、屈曲内旋にも関与しうる。
✓凍結肩の患者に対して関節鏡視下で烏口上腕靭帯をリリースすると、外旋および内旋可動域が拡大する可能性がある。
参考文献
[1]金澤 憲治,他:烏口上腕靭帯は肩関節内旋制限に関与するか.肩関節39(2):405-408,2015.
[2]Yoshihiro Hariwara,et al:Arthroscopic Coracohumeral Ligament Release forPatients With Frozen Shoulder.Open Orthop J. 2018; 12: 373–379.