
こんにちは。
肩関節機能研究会の郷間(@FujikataGoma)です。
今回は『上腕三頭筋長頭』の解剖学的特徴を中心に関節包、神経についても解説していこうと思います。
本記事を読むことで
▪肩の外側(三角筋周囲)の痛みやおもだるさが改善しない。
▪上腕三頭筋長頭へのアプローチがわからない
それではまず、上腕三頭筋の基本的から見ていきましょう!

上腕三頭筋長頭の基礎解剖
起始:肩甲骨関節下結節
停止:尺骨肘頭
神経支配:橈骨神経 C7/C8
作用:肩関節伸展、肘関節伸展
特徴:上腕三頭筋は文字通り長頭、内側頭、外側頭の三頭に分かれる。
上腕三頭筋の中で長頭のみが肩関節も介す二関節筋である。
この辺りが基本的な解剖、機能かと思います。
では、今回はもう少し深掘りしていきたいと思います。
まずは付着部についてです。
上腕三頭筋長頭の付着部
まずはこちらの報告をご覧ください。
上腕三頭筋長頭の一部の線維は関節窩結節下部よりも上部の関節窩後縁に沿って関節包や関節唇に付着していた。
Hisayo Nasu,et al:An anatomic study on the origin of the long head of the triceps brachii.JSES.15;3(1):5-11,2019.
解剖屍体20体25肩全例に関節窩の7時半から9時まで上腕三頭筋長頭腱筋膜が広がっていた。
杉本勝正ら:関節窩後下方の解剖学的研究-Bennett骨棘の成因について-.JSES.29;2:234-246,2005.
このように、私たちが一般的に授業で学んできた上腕三頭筋長頭の付着部(起始部)=関節下結節というのは間違えではないですが、全然足りていないことがわかります。
ここで重要なのは、付着部が広いか、狭いかではなく、どこの何に付着しているのか?というところです。
教科書的には関節下結節(骨)になるのですが、
種々に報告をみると骨のみに留まらず関節包などにも付着していることがわかります。
では、関節包に付着することが何を意味するのでしょうか?
上腕三頭筋長頭が関節包にも付着することで、間接的ではありますが長頭の収縮により関節包も伸張し拘縮予防や改善にも関与することが考えられます。
Hisayo Nasu,et al:An anatomic study on the origin of the long head of the triceps brachii.JSES.15;3(1):5-11,2019.
Matthew A Handling,et al : The origin of the long head of the triceps: a cadaveric studye.JSES.10(1):69-72,2010.
では実際にエコーを用いて関節窩周囲の付着部を観察してみたいと思います。
赤が外側縁、緑が関節窩、青が関節包になります。
https://vimeo.com/521629718/e8ed6dc78a
コチラのエコー動態を観察していただくとイメージできるかと思いますが、
エコーで観察すると関節窩や外側縁のみならず、関節包にも付着していることがわかります。
このような解剖からわかることは、上腕三頭筋長頭の機能不全が間接的に肩関節下方軟部組織のタイトネスにも関与することが考えられます。
上の動画では挙上150°程で肘に自動屈伸を行っているのですが、
挙上90°においても同様に上腕三頭筋長頭の収縮を入れるように意識しています。
エコーを使用できる方はぜひ描出してみてください(^-^)✨
上腕三頭筋とQLS
QLSとはquadrilateral space syndrome(四辺形間隙症候群)の略です。
四辺形間隙は上腕骨、小円筋、大円筋、上腕三頭筋長頭の四辺からなる間隙のことで、その中央には腋窩神経が走行しています。
上スライドの右縦列をみていただくとイメージしやすいかと思いますが、
骨頭の周りをQLS構成軟部組織(小円筋、上腕三頭筋長頭、大円筋)が包むように位置しているのがわかります。
また、その中央には腋窩神経(赤丸内)も観察することができます。
では実際にエコーガイド下にて、QLS周囲の位置関係をを観察してみたいと思います。
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