肩甲上腕関節の可動域制限を分解する

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今回は肩関節の可動域制限となる軟部組織を見つけ出すうえで、必要な3つのポイントをご紹介したいと思いますが、その前に肩関節の基本的な特徴を紹介しておきたいと思います。

肩関節は複雑で複合的な運動が可能な人体最大の可動域を有する球関節です。
球関節の特徴は①骨頭の動揺、②転がり運動、③滑り運動、④軸回旋運動の4つの動きが複合的に生じるというところです。

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また、球関節は単純な一軸性の運動ではなく、屈曲-伸展運動や内転-外転運動、内旋-外旋運動などが生じる多軸性の関節です。

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-軸(面)により異なる運動-
 ・前額面では内転-外転運動
 ・矢状面では屈曲-伸展運動
 ・水平面では内旋-外旋運動

ここまでの解説で、すでに”肩関節の苦手意識”が強まった方も多いかもしれません(^^;

多くのセラピストが肩関節に苦手意識を抱くのも理解できます。

ですが今回ご紹介する3つのポイントを順番に理解することで、こちらの記事を読み終えるころには肩関節の苦手意識が多少は払拭できるかもしれません。

また、これから臨床実習を控えている学生さんも本記事の内容を理解して実習に挑むことで
今回の実習生さんはよく理解できているなぁ。』と思われること間違いありません。

たとえば、私の臨床見学に入るセラピストや学生さんには『この患者さんは下垂位外旋の制限が顕著ですね。では軟部組織だとしたらどんな筋や靭帯が影響していると思いますか?』といった質問を必ずしています。

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一発目で『棘上筋前部線維、肩甲下筋上部線維、大胸筋鎖骨部線維、小胸筋延長腱、烏口上腕靭帯、上関節上腕靭帯です。』と答えてくれる方は流石にいませんが、少し勉強している学生さんであれば1~2つの組織を答えられることもあります。

ここで“全くわからない”と答えた方は恐らく肩関節に対して苦手意識が強い人でしょう。

では膝関節で考えてみてください。
膝伸展の制限因子(関与している組織)は?

恐らくほとんどの方が『ハムストリングスや腓腹筋、膝窩筋の伸張性低下』と答えられると思います。

それはみなさんが膝関節の関節運動の特徴と膝屈伸軸の後方に位置する組織がハムストリングスや腓腹筋、膝窩筋であることを知っているからではないでしょうか?

肩関節も膝関節と大きな違いはありません。
ただほんの少しだけ関節運動が複雑なだけです。

ということで今回は3STEPを順序立てて解説していきますのでよろしくお願いします。

STEP① 肩関節における軟部組織の位置関係を把握する
STEP② 可動域制限を肢位毎に分解する
STEP③肢位毎の制限に関与する軟部組織を理解する

①肩関節における軟部組織の位置関係を把握

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こちらは右肩関節を矢状面からみた図になります。

まずは肩関節を上方、前上方、前方、前下方、下方、後下方、後方、後上方の8方向に分けて考えます。

ではこれらに腱板筋群4つを加えてみましょう。

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棘上筋=前上方、上方、後上方
肩甲下筋=前上方、前方、前下方
棘下筋=後上方、後方
小円筋=後下方

するとざっくりとですが腱板筋群の位置関係がわかるようになってきます。
※線維ごとの位置関係は後ほど加えていきます。

では次に関節上腕靭帯を加えていきましょう。

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上関節上腕靭帯=前上方
中関節上腕靭帯=前方
前下関節上腕靭帯=前下方
後下関節上腕靭帯=後下方

いい感じに位置関係がわかってきましたね。

ではここで上腕二頭筋、三頭筋、大円筋も加えてみていきましょう。

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上腕二頭筋長頭腱=前上方
大円筋=前下方
上腕三頭筋長頭腱=下方

※こっそり腱板筋群も線維ごとに分けてみました。

いかがでしょうか?

回旋筋腱板、上腕二頭筋長頭腱、大円筋、上腕三頭筋長頭腱、そして4つの関節上腕靭帯の位置関係は理解できましたか?

自信のない方はもう一度、STEP①を見直してからSTEP②に進んでみましょう!

②可動域制限を肢位ごとに分解

肩関節は複雑に動きます。そのため、動きのパターン(肢位)も数多くあります。

今回は種々の動きの中でも主要となる10パターン(結帯も含めば11パターン)の可動域制限を分解してみたいと思います。

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