腱板断裂に、教科書ができました。
病態・評価・介入・臨床推論。腱板断裂という1つのテーマだけを、全4章25節で1本の線につなぎました。その第1章を無料で公開します。読み終えるころには、腱板断裂という疾患の「地図」が、あなたの手の中にあります。

9月29日(火)のセミナー参加と、第2〜4章の全20節が含まれます。
はじめに
こんな場面、ありませんか?
- 患者さんに「先生、これ治りますか?手術ですか?」と聞かれて、一瞬、言葉に詰まった。
- MRIレポートの「supraspinatus full thickness tear」を、どう臨床に翻訳すればいいか分からない。
- Drop arm signやその他の整形外科テストを、正直「なんとなく」でやっている。
- 「腱板断裂=手術が必要な重症」だと、どこかで思っていた。
この無料章で、持ち帰れるもの
病態の「地図」
部分か全層か、AST/BST、サイズ。腱板断裂を一括りにせず、種類で語れるようになる。
患者に説明できる武器
「3人に2人は切れていても痛くない」。不安を抱える患者さんを、根拠を持って安心させられる。
自分の評価の解像度
今まで"なんとなく"だった評価が、どこを見るべきかという視点に変わる。
講座全体の地図
こんにちは。肩関節機能研究会の郷間です。腱板断裂は、決して稀な疾患ではありません。むしろ後で見るように、高齢になるほどありふれた状態です。だからこそ「切れている=重症」と短絡せず、断裂のタイプ・サイズ・残存機能で捉える必要があるんですよね。
そして大前提として、私たちセラピストは診断を下すことはできません。それは主治医の役割です。けれど、主治医の診断・指示のもとで、患者さんが最善・最短で良くなる方法を一緒に試行錯誤していくことはできます。この講座は、そのための地図です。合言葉は「理解は深く、考察は丁寧に、治療はシンプルに」。まずは病態の整理から始めましょう。
腱板断裂は、大きく分けて部分断裂と全層断裂があります。
- 部分断裂:斜位前額断(正面)からみて、深層から浅層のうちいずれかの層が切れている病態
- 全層断裂:深層から浅層まですべての層が切れている状態
部分断裂は、深層か、浅層か、層の間かに注目して分けます。
- AST(Articular Side Tear/関節面断裂):深層の断裂
- BST(Bursal Side Tear/滑液包面断裂):浅層の断裂
- Delamination(層間剥離):深層と浅層の間が剥離する病態(一次修復術後の再断裂リスクとして知られる)
正面で全層断裂と判断したら、横の断面(斜位矢状面)に移り、サイズで分類します。これがCofield分類です。
切れた腱板は治るのか?拡大するのか?
普通の肉離れのように自然と治るかというと、残念ながらそうではありません。一度断裂すると、サイズは少しずつ拡大していくとされています。
元には戻せない、むしろ広がる前提だからこそ、「残っている機能をどう活かすか」が介入の発想になります。
まず「ありふれている」ことを数字で
だから、患者さんが強い不安を抱かれているときは、こうお伝えできます。「年を重ねるとシワができたり白髪が生えるのと一緒で、個人差はありますが70歳以上の3人に1人は腱板が切れています。そのほとんどは、切れていることも分からないくらい普通に生活されています。だから安心してくださいね」と。
症候性と無症候性:3人に2人は切れていても痛くない
報告を見ると、症候性は無症候性に比べて有意に断裂サイズが大きい傾向があります。もともと無症候性だった肩が症候性に転じる例もある。では、その分かれ目はどこにあるのか。エコーで全層断裂を確認した221例283肩を対象にした報告では、痛みの有無を分ける機能的因子として①インピンジメント徴候(OR10.18)②肩外旋筋力の低下(OR3.10)③利き腕側の罹患(OR2.99)の3つが挙げられています。そしてこの3因子すべてに問題がないものは、93.8%が無症候性断裂でした。
第1章で、あなたが手にしたもの
- 腱板断裂を「部分/全層・AST/BST・サイズ・症候性/無症候性」で語れる地図
- 不安な患者さんを安心させる言葉(「3人に2人は切れていても痛くない」)
- 「断裂の有無より、どの機能が落ちているかが痛みを分ける」という病態の見方
第1章の内容は、郷間の通常セミナー「解剖・運動学から紐解く 腱板断裂 最前線」(2023年7月開催・2時間43分)が土台になっています。このセミナーのアーカイブを含む過去の全セミナーは、会員の先生であればいつでも視聴できます。
地図は、手に入りました。
ただ、地図だけでは患者さんは良くなりません。
第1章で「腱板断裂とは何か」は分かりました。けれど、臨床で本当に必要なのは、その次です。
「目の前のこの患者さんを、どう評価する?どのテストを、どの順番で使う?」
「保存で何ができる?夜間痛は?術後は?」
その問いに答えるのが、第2章からの本編です。ここで「続きはどうなるんだろう」と思われたなら、それは自然なことかなと思います。
年間プランのご案内
このまま「評価 → 介入 → 臨床推論」まで進む。
第2章から先は、講座単体の購入ではなく、肩研スクールの年間プランでお読みいただけます。腱板断裂講座だけでなく、毎月のライブセミナーや会員コンテンツを1年間利用できるプランです。
3,300円
ライブセミナー1回分
30,000円
通常33,000円。9月29日(火)のセミナー参加を含む1年間の学習環境
- 腱板断裂講座 全4章25節
(第2〜4章の20節を解放) - 月1回のライブセミナーに無料参加
(9月29日(火)20:00〜の回も対象) - 専門記事・過去セミナー動画を
会員期間中いつでも利用 - 臨床Q&A・お悩み相談室を利用
※先着30名に達した時点、または8月30日を過ぎた時点で、このページの申込ボタンは通常プラン一覧へ切り替わります。
本編サンプル ・ 1節全文
第2章から先は、どれくらいの深さで書いてあるのか。
本編から「棘下筋:External rotation lag sign」を、機能解剖・手順・鑑別・参考文献までそのまま公開します。
クリックして全文を読む
① 棘下筋の機能解剖:線維と停止
棘下筋は、筋内腱に筋線維が集束する半羽状筋です。線維は2つに分けられます。
- 横走線維:肩甲棘窩面より横走する線維
- 斜走線維:棘下窩より上斜方に走行する線維
横走線維と斜走線維は筋性部では連続していますが、停止部(腱性部)では性質が分かれます。腱性部は上下で独立しており、上1/2は長く厚い腱性部(ISP-LT:Long and Thick)、下1/2は短く薄い腱性部(ISP-St:Short and thick)です。斜走線維の大半は上方のISP-LTに連続して大結節に停止し、横走線維は薄い腱膜となって腱性部の上に停止します。
② 神経支配と血管:なぜ単独で弱ることがあるのか
棘下筋は肩甲上神経に支配されます。肩甲上神経は肩甲上切痕を通過して棘上筋に枝を出したのち、棘窩切痕(spinoglenoid notch)を通過してから棘下筋に枝を出します。横走線維の神経線維パターンには個体差があり、棘上筋の枝のみが分布するType1(約25%)、横走線維特有の枝が分布するType2(約45.8%)、両方が分布するType3(約29.2%)に分けられます。
血管は肩甲上動脈が担い、神経・動脈とも棘下筋下脂肪体に包まれて棘上筋・棘下筋の深部を走行します。
③ では、なぜ External rotation lag sign で棘下筋が分かるのか
棘下筋は下垂位での外旋の主働筋です。横走・斜走線維が大結節へ外旋トルクを発生させ、特に下垂位外旋の保持(遠心性コントロール)に働きます。ERLSは他動的に作った最大外旋位を自分で保持できるかをみるテストなので、棘下筋の保持機能が落ちていると外旋位を保てず戻ってしまう、という理屈です。
感度47%(21-71)/特異度94%(85-100)。特異度が高いので、陽性なら外旋筋(棘下筋)の機能低下の可能性が高いと読めます。
テスト手順
- 肩関節20°外旋位・肘90°屈曲位にする。
- 検者が他動的に最大外旋位まで持っていく。
- その肢位を被験者に保持させ、手を離す。外旋位を保てず戻ってきたら陽性。
読み方(小円筋との切り分け)
| 断裂パターン | 下垂位外旋保持 |
|---|---|
| 棘下筋(+)/小円筋(−) | 下垂位20°前後までの保持は可能だが、最大可動域(50-60°)は困難 |
| 棘下筋(+)/小円筋(+) | ほぼ下垂位外旋運動が困難 |
「外旋筋」に焦点を当てると、保持できる角度の範囲から棘下筋・小円筋のどちらがどの程度かの当たりがつきます。挙上位外旋を見るHornblower's sign(小円筋・2-4)と組み合わせると、さらに切り分けられます。
④ 評価から介入へ(この節の臨床的ゴール)
ERLSが陽性で棘下筋の機能低下が疑われたら、次は「なぜ弱いのか」です。器質的な断裂なのか、神経絞扼なのか、後方関節包の拘縮や棘下筋下脂肪体の滑走不全による出力低下なのか。介入の方向はここで変わります。
・Mochizuki T, et al. Humeral insertion of the supraspinatus and infraspinatus. JBJS Am. 2008;90(5):962-9.
・加藤敦夫 他. 棘下筋の形態とその支配神経の解剖学的研究. 肩関節. 2012;33(2):257-9.
・Kato A, et al. An anatomical study of the transverse part of the infraspinatus muscle. Surg Radiol Anat. 2012;34(3):257-65.
・Hermans J, et al. Does this patient with shoulder pain have rotator cuff disease? JAMA. 2013;310(8):837-47.
・Walch G, et al. The dropping and hornblower signs in evaluation of rotator-cuff tears. JBJS Br. 1998;80(4):624-8.
数字で見る、この講座の全体像
出典を含む総文字数
CSS図解11点
合計5時間12分
引用論文
第2章からの本編で、できるようになること
自分の手順で評価できる
- 問診で当たりをつける聴取のポイント
- 整形外科テスト4種を感度・特異度込みで使い分ける
- MRI・エコーを「自分の言葉」で読む
- ADLに落とす(130°という基準)
残った機能を引き出す
- 肩峰下インピンジメントの評価と介入
- 夜間痛・Lowering Painへの理学療法
- 患部外(胸郭・肩甲帯)からのアプローチ
- 術後(ARCR)の流れと配慮
一本の臨床推論に
- 問診→テスト→画像→機能→介入を束ねる
- 一人の患者の流れとして再現できる
- 「もう立ち尽くさない」自信
初めてご入会になる先生へ
- この講座だけを購入することはできますか?
- 現在は、年間プランにご入会いただいた先生にお読みいただく形にしています。講座単体でのご案内は、準備が整いしだい改めてお知らせします。
- ライブセミナーは、別に参加費がかかりますか?
- かかりません。肩研スクールでは月1回のライブセミナーに無料でご参加いただけます。9月29日(火)20:00〜の回もその対象です。
- すでにセミナーに申し込んでしまいました。
- ご連絡ください。セミナー代の返金についてご案内します。そのうえで、会員としてご参加いただければと思います。
- いつまで読めますか?
- 会員でいらっしゃる間は、何度でもお読みいただけます。
- どのくらいのレベル向けですか?
- 新人から中堅のPT・OTの先生を想定しています。解剖用語はそのまま使いますが、「それが臨床でどういう意味を持つか」は必ず添えるようにしました。
すでに肩研スクール会員の先生はこちら
年間プランの先生:追加のお支払いなく、そのまま講座をお読みいただけます。
第2章「評価する」を読む →
半年・月額プランの先生:個別にご連絡ください。年間プランへの切り替えをご案内します。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
正直に言うと、この講座はかなりマニアックだと思います。腱板断裂という1つのテーマだけを、25節かけて掘り下げていく構成です。広く浅く学びたい方には、たぶん向いていません。
ただ、肩の臨床で「なんとなく」が残っているなら、1つのテーマを深くやり切る経験は効くはずです。1本の柱が立つと、他の疾患を診るときの目も変わってくるんですよね。
明日からの現場で、腱板断裂のカルテを見ても手が止まらない。そこまで一緒に行けたらと思っています。
「分かった」で終わらせず、次の患者で動けるところまで。
腱板断裂が来ると身構えてしまう、を「自分の手順で評価し、介入を選べる」に変える。第2章から先は、会員ページでお読みいただけます。
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