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肩関節機能研究会研究生の老月隆太郎です!
今回は、結帯動作における肩甲骨と肩甲上腕関節の動きについてご説明をしていきたいと思います。

老月
結帯動作での肩甲骨と肩甲上腕関節(GH)の動き方は複雑ですよね。
そんな方に、わかりやすく肩甲骨と肩甲上腕関節の動き方をお伝えしていきます!

結帯動作について

 結帯動作とは、背中に手を回す動作です。

 

 日常生活動作では、

  • ベルトを通す動作
  • 背中を掻く動作
  • 下着を着脱する動作
  • エプロンを紐で結ぶ動作
  • ズボンの後ろポケットに手を入れる

 などの動作があります。

 

 これらの動作は、肩関節疾患を有する患者において、結帯動作の実用性向上は難渋する課題の1つであると報告されており1)、皆さんが難渋する動作の一つですよね。

 

外転パターンと内転パターンの2種類

 

結帯動作には、外転パターン内転パターンの2種類があります。

 

 

このように、

・内転パターンは、内転させながら結帯動作をする方法で、移動させる上肢と反対側の肩甲骨付近を触れる場合に生じやすい。

・外転パターンは、外転させながら結帯動作をする方法で、移動させる上肢と同側の肩甲骨付近を触れる場合に生じやすい。

 

 

それでは、

なぜ、このように2種類に分けるかお伝えします。

 

 

内転パターンは、ベルトを通したり、背中を掻く動作などで生じやすいです。

そのため、男性に多い印象を受けます。

 

外転パターンは、下着を着脱をする動作やエプロンの紐を結ぶ動作などで生じやすいです。

そのため、女性に多い印象を受けます。

このように、

患者さんが、具体的にどのような動作で困っているかを問診することが大切です。

結帯動作での肩甲上腕関節(GH)と肩甲骨の動き方

それでは、GHと肩甲骨の動き方についてご説明をしていきます。

GHは、内旋伸展が必ず生じます。また、外転パターンでは外転、内転パターンでは内転が必ず生じます。

 

GHは、下垂位から尾骨に到達するまでに、最大に近い内旋を行います。

また、尾骨あるいはL5より高位では、肩関節の内旋と外転は変化がなく、主に肩甲骨運動によって行われると報告されています。2)

 

そのため、スクリーニングとして、結帯動作で母指先端がどの位置にあるかを評価し、肩甲骨かGHの介入する優先順位を付けると良いかと思います。

それでは、外転と内転パターンをGHと肩甲骨に分けて、動い方をご説明をしていきます。

外転と内転パターンのGHの動き方

まず、外転パターンと内転パターンのGHの動き方についてご説明をします。

 

外転パターンのGHの動き方は、下垂位〜Th7まで、外転・伸展・内旋します。

 

内転パターンのGHの動き方は、下垂位〜L5まで外転・伸展・内旋します。

L5〜Th7までは、内転・伸展・内旋します。

 

外転パターン、内転パターンいずれも、GHは内転伸展します。3)

外転と内転パターンの肩甲骨の動き方

結帯動作の肩甲骨は、結論から言うと、前傾内旋します。

 

まず、肩甲骨の内外旋運動について分からない方が多いと思いますので、肩甲骨の内外旋について、ご説明をしていきます。

 

肩甲骨の関節窩が前方へ向くような動きが肩甲骨の内旋です。反対に肩甲骨の関節窩が外側を向くような動きが肩甲骨の外旋です。

 

それでは、外転と内転パターンの肩甲骨の動き方について、ご説明をしていきます。

 

外転パターンの肩甲骨の動き方は、常に下垂位〜Th7まで、肩甲骨上方回旋・前傾・内旋します。

 

 

内転パターンの肩甲骨の動き方は、下垂位〜Th12まで上方回旋・前傾・内旋し、Th12〜Th7は下方回旋・前傾・内旋します。

 

外転パターンと内転パターンいずれも、肩甲骨は前傾内旋します。3)

まとめ

それでは、まとめになります。

 

  • 結帯動作には、外転と内転パターンの2種類ある。
  • 尾骨より高位は、主に肩甲骨運動によって行われる。
  • 結帯動作では、肩関節伸展・内旋が生じ、肩関節内旋の可動域の関与が大きい。
  • 結帯動作での肩甲骨は、外転・内転パターンともに、前傾と内旋が生じる。

引用文献

1)三浦雄一郎、福島秀晃:肩関節運動機能とADLの関連性.関西理学療法2008:8:25-34

2)本田俊介,立花 孝,西川仁史・他:結帯動作について Motion Captureを用いた3次元的解析.理学療法学,31:p513, 2004.

3)臼井孝尚・他:結帯動作方法の違いによる肩甲帯運動と肩甲骨周囲筋の筋活動.Jpn Rehabil Med 2020;57:1197−1203

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