
こんにちは。
肩関節機能研究会の郷間(@FujikataGoma)です。
今回は肩関節手術の中でも比較的メジャーな関節鏡視下腱板修復術(arthroscopic rotator cuff repair:ARCR)の手術適応について解説していきたいと思います。
本記事を読んでいただく事で、腱板修復術前の患者さんの予後のイメージや、なぜこのタイミングで手術を施行するのかといった臨床の疑問を解決するヒントが見つかるかもしれません。
3~5分ほどで読み切ることができますので、ぜひ最後まで読んでみてください(^-^)
関節鏡視下腱板修復術の手術適応基準は?
では結論から申します。
基本的には所属施設や主治医の意向により異なるため、明確な基準はありません。
これは様々なことに言えるかもしれませんが、経過観察をする医師がいれば、画像所見をもとに問診して即日手術の調整をされる医師の先生がいらっしゃいます。
これに関しては私達セラピストも、○○の時期から△△を行うといった、いわゆるプロトコルなどはありますが、それらすべてが全国共通の基準ではないことは周知の事実ですね。
このように、年齢や性別、生活様式など様々ですので100%手術適応!と断定できる手術基準などはありません。
そもそも私は理学療法士なのでその辺は言及できませんが(^^)💦

しかし、腱板修復術の予後を含めた研究などは数多く存在します。
本記事では様々な報告をもとに、私なりにも手術適応について考えてみましたのでぜひお付き合いください(^-^)ノ
では早速ですが、みなさんはGoutallier分類という分類をご存じですか?
Goutallier分類(脂肪浸潤)
Goutallier分類(脂肪浸潤)とは文字通り筋肉内に浸潤した脂肪の割合をMRI画像で評価し分類したものです。
Goutallier分類にはStage0の浸潤なし~Stage4の筋肉と比して脂肪が多い状態の5段階に分けられます。
Stage4 脂肪が浸潤しほとんど筋肉が無い状態(脂肪>筋肉)
以下の一例をご覧ください。
SSP Stage2
ISP Stage1
SSC Stage1
Tm Stage0
※SSP=棘上筋、ISP=棘下筋、SSC=肩甲下筋、Tm=小円筋
このように記載されている場合は

おそらく、最近の断裂ではなく、以前から断裂していて時間と共に脂肪が浸潤した可能性が高いな…
収縮の感覚をつかむのに時間がかかりそうだから、棘上筋運動の場合は三角筋の代償が入らないよう注意してやっていこう。
脂肪浸潤と腱板修復術のカットオフの関係

Goutallier分類 Stage3(脂肪=筋肉)以上では腱板修復術による機能回復がほとんど期待できません。
基本的に脂肪浸潤と萎縮はほとんど回復が見込めない不可逆的な変化と言われているからです。
まとめ
・腱板修復術の判断材料としてGoutallier分類を用いる施設や医師も多い。
・脂肪浸潤や筋の萎縮は不可逆的な変化である可能性がある。
・Goutallier分類 Stage3-4以上は腱板修復術による機能回復が期待できない。